益田工房でお手伝いさせていただいている島根発の総合診療医育成プロジェクト「NEURAL GP network」がグッドデザイン賞2022 金賞を受賞しました。
東西に長く、交通網も未発達で、中山間地域や離島など、地理的課題の多い島根で、総合診療医を養成するネットワークを作り、バーチャル医局(オフィス)を構築したこのプロジェクト。島根県内の医師200名が、それぞれ所属している病院や大学、各種機関などの組織の枠を超えて、総合診療医育生のために集い、様々なアクションを繰り広げています。
全国的に地域医療の従事者が少ないという背景の中、医学部の中にできた「総合診療医養成プロジェクト」という新しい枠を活用し地域医療従事者を増やそうとする仕組みと、関係性のデザインが素晴らしい。地域医療を担う医師が大学でも教え、また学生も地域に出ていくことで総合診療医のなり手を増やすにとどまらず、教育のネットワークがそのまま地域医療のネットワークとなり、地域での医療的課題やお互いの日常的な気づきも共有できている。地域医療の人材やネットワークが、そこに住む人の安心・安全を心理的にサポートしてくれることに繋がり、結果としてその地域に住みたい人を増やす公共的なインフラ価値を作っている。
グッドデザイン賞審査委員会 評価者からのコメント
弊社ではプロジェクトのハブとなるウェブサイトを企画制作し、コンテンツ管理システムを作り、100名を超える医師と直接コミュニケーションをとり150本のビデオオンデマンドコンテンツの制作進行管理を行い、島根県内の各所で行われる写真・動画撮影の監督をし、知財権管理の専門家へ監修を仰ぎ、といったようなさまざまな役割を担いました。
発足当初は、整理すればするほどに、明らかになる膨大なタスクに焦りましたが、我々なりにできる方法を模索しながらひた走って参りました。なんとかやれたのは、しまね総合診療センターのセンター長、白石先生、副センター長、和足先生のリーダーシップ、コアメンバーの皆様、協力いただいたコラボレーターのおかげです。
今思えば、我々のような小さな規模のウェブ制作チームが請け負うような量と内容ではなかったような気もしますが、白石先生と和足先生とミーティングをすると、そんな膨大で難易度のあるタスクも、じっくりと一歩一歩確実に進めることができ、なんだかやれそうな気がしてくるのが不思議です。
我々のようなものは、恥ずかしながら参加当初は、このプロジェクトの意義がわかっていませんでした。制作を進めていくにつれて、だんだんとこのプロジェクトの社会的な意義がわかるようになり、なんだか参加メンバーの組織構造も非常にまれで、このネットワークのあり方は、大袈裟ですが社会を変える可能性を秘めているんじゃないかと思うような気さえしました。最初は少人数のミーティングで小部屋同士のオンラインミーティングから始まりましたが(今現在もそうですが笑)、インディペンデントでアンダーグラウンドな活動をしているような心持ちで、個人的には大いにモチベーションとなりました。
デザインディレクションで協力を賜った、バケモノ井関さん、撮影のため東奔西走してくれた佐々木哲平くん、佐藤友紀 さん、知財権監修をして下さったふたば大樹知的財産事務所の飯村さん、プロジェクトの言語化をサポートいただいた記者の白築さん、本当にありがとうございました。
しまね総合診療センター NEURAL GP network WEBサイトは こちら
それでは、最後に、このプロジェクトをグッドデザイン賞の二次審査で使われた、センター長・隠岐島前病院 参与 白石吉彦先生による(アロハシャツですが)渾身の4分間プレゼンテーション動画を掲載いたしますので、ぜひご覧いただければと思います。